当協会は児童ポルノを撲滅するための
取り組みを行っております
インターネットの普及、利用者の低年齢化により児童ポルノの製造や取引、所持が横行し、児童ポルノにかかわる逮捕の報道が行われているにもかかわらず、摘発件数は増え続け、撲滅には程遠い状況です。
このように、児童ポルノ撲滅に向けて官民一体となった総合的な対策が求められている中で、ハードディスクやメモリーカード等の記録メディアからのデータ復旧サービスを営む企業で構成される業界団体「一般社団法人日本データ復旧協会」は、以前から児童ポルノ排除に向けた取り組みを行っております。また、2012年2月23日には以下の宣言を行い、会員企業の責務としております。
責務宣言
児童ポルノのデータ復旧依頼は受け付けません。
児童ポルノは犯罪者が子供の権利を侵害した「犯罪」です。データ復旧は本来救いを求めるお客様に手を差し伸べるサービスですが、児童ポルノのデータ復旧依頼を受け付けてしまうと、犯罪行為の手助けとなってしまうため児童ポルノデータの復旧は拒否いたします。
日本データ復旧協会は、本キャンペーンを通して児童ポルノが「違法」であるとの認識を広めていきたいと考えており、児童ポルノを所持するだけでも被写体となった児童の権利を侵害する「違法行為」であることを意識していただくきっかけになることを願っております。
児童ポルノに関わる法制度について
2014年6月に改正された「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」の第七条において児童ポルノの所持、製造、提供、陳列が禁止され、罰則が規定されており、違反すると以下の罰則が科せられます。詳しくはコチラ
または公然と陳列
他人に提供する目的ではない児童ポルノの単純所持および、盗撮による児童ポルノの製造は、2014年の法改正で処罰の対象となりました。また、プロバイダや掲示板運営者などのインターネット事業者は児童ポルノの捜査協力、拡散防止措置などの努力が求められるようになりました。
児童ポルノ撲滅への取り組みは国内だけではなく、世界で行われています。
1990年に発行され、日本も1994年に批准した「児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)
」は18歳未満の児童の権利を大人と同等に認め、批准国は児童の最善の利益のために行動しなければならないと定められています。
2000年にはこの条約に基づく議定書として「児童の売買、児童買春及び児童ポルノに関する児童の権利に関する条約の選択議定書」も採択されています。
事件化される例
単純所持で逮捕された事案としては、違法DVD販売会社からの購入、配信サイトからのダウンロードなどがあります。
また、2014年の法改正時に「ひそかに児童ポルノを製造した者」も児童ポルノ製造と同じ扱いとなりました。販売や提供目的でなくても、盗撮により児童ポルノに該当した写真や動画を撮影すると3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科せられます。
スマートフォンで用いられる技術を応用して非常に小さなデジタルカメラを作ることが可能になりましたが、見た目を偽装した盗撮用小型カメラは、盗撮を防止する観点から国内の業者ではあまり取り扱いがありません。しかし、ネットでは国境を越えた通販が容易にできるため、盗撮カメラの完全な排除は難しいのが現状です。
盗撮自体は迷惑防止条例等での規定がありますが、迷惑防止条例よりも罰則が重く、盗撮による児童ポルノの製造には「公共の場所で」という制限がないため、自宅などの私有地での盗撮も対象となります。
盗撮による児童ポルノ製造は、画像の保存ができた時点で児童ポルノ製造となるため、未遂だと処罰の対象外となります。しかし、盗撮しようとしたところを通報されて、証拠品として押収された携帯電話からダウンロードした児童ポルノが見つかり単純所持で逮捕されるケースもあります。
意外なところでは、X(旧Twitter)におけるポストにも注意が必要です。X(旧Twitter)上の投稿は「公然と陳列」に該当するため、児童ポルノ画像が添付されたポストをリポストするだけでも処罰され
最近では、SNSの普及と利用年齢の低年齢化により、児童自身による児童ポルノ製造も問題視されています。身分を偽って児童と同世代と思わせて接触して交流を深め、最終的に裸の画像を撮って送信させるという手口で児童ポルノを製造させ、逮捕された事件もあります。
この場合、撮影した児童自身も児童ポルノ防止法違反(製造)となり、撮影させた大人は共犯または共同正犯となります。また、自分で撮影した裸の画像をパスワードで閲覧制限をかけられるサービスにアップロードし、閲覧用パスワードをSNSなどで販売することで、小遣い稼ぎをするという事例もあります。
こういった画像は本人が知らないうちに転載されてネット経由で広まることもあり、新たな児童ポルノの供給源となっている側面もあります。
具体的な児童ポルノの摘発事例
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01CASE
児童ポルノ販売サイトと顧客の摘発
2020年6月に愛知県警が海外を拠点にしていた国内大手の児童ポルノ販売サイトを摘発し、約2万人分の会員情報を押収しました。その後の調べでサイト運営に関わっていた3法人以外に、出品者や購入者ら計48人が検挙されています。
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02CASE
児童ポルノ画像の単純所持で逮捕
2018年2月に、流山市の保育園に勤務する保育士が児童ポルノ禁止法(単純所持)容疑で逮捕されました。家宅捜査の結果、ポルノ画像が記録された媒体が複数見つかり、携帯電話にも児童が写った画像が確認されています。
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03CASE
SNS上で児童ポルノ画像を販売、逮捕
2014年11月21日にTwitter(現X)上に投稿された児童ポルノ画像をリツイート(リポスト)したとして、横浜市と大阪府の男性が児童ポルノ禁止法違反(公然陳列)の疑いで書類送検されました。
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04CASE
児童ポルノ画像の
リツイート(リポスト)で書類送検2014年11月21日にTwitter(現X)上に投稿された児童ポルノ画像をリツイート(リポスト)したとして、横浜市と大阪府の男性が児童ポルノ禁止法違反(公然陳列)の疑いで書類送検されました。
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05CASE
スマホアプリで知り合った女児に
裸の写真を送信させて逮捕スマートフォン向けアプリの掲示板を通じて小学生女児と仲良くなった小学校講師が、裸の写真を送らせた疑いで、強制わいせつと児童ポルノ禁止法違反(製造)で2018年11月に逮捕されています。
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06CASE
自社サービスの管理を怠り逮捕
利用者が写真を掲載し、設定した合言葉(パスワード)を知っている人だけが閲覧できるサービスを運営していた会社社長が、児童ポルノの販売に利用されていることを知りながら削除などの対策を取らず、児童ポルノの公然陳列を手助けしたとして、2015年11月に児童ポルノ禁止法違反(公然陳列)幇助の疑いで逮捕されました。
求められる対策
最近では、児童自身による撮影による児童ポルノの製造が増えています。パソコンやスマートフォンのフィルタリングソフトを活用し、危険なサイトに近づかせないという対策もありますが、フィルタリングソフトも万全ではありません。そのため、家庭や学校で子供たちにインターネットの安全な使い方を教えることが求められています。それでも、被害が発生した時には、周りの大人たちが子供の変化に気づき、すぐに相談に乗れる体制を整える必要があります。
インターネットの普及が児童ポルノの拡散につながっている現状ですが、同時に、インターネット企業の技術が児童ポルノを減らす効果ももたらしています。
たとえば、Microsoftは、画像マッチング技術を用いて、児童ポルノと判断された画像が自社サービスにアップロードされたときに自動的に削除したり、アカウントを停止したりする対策を行っています。この技術は企業の枠を超えてGoogleやFacebookにも提供されており、GmailやFacebook上に児童ポルノ画像が送信されたときにブロックするようになっています。また、Googleは検索結果に児童ポルノを含むページを表示させないという対策も行っています。
なお自社のプラットフォーム上のサービス内にて児童の性的虐待に関わるコンテンツが存在していないか積極的に検出するシステムを導入するかどうか(システム自体はすでに開発されています)は、まだ議論がされている段階です。
- オンラインでの児童性的虐待の撲滅に対する取り組み(Google) https://protectingchildren.google/intl/ja_jp/#introduction
- 捜査令状で見えたグーグルの「児童ポルノ検出」の舞台裏 https://forbesjapan.com/articles/detail/45095
- Appleが児童ポルノ検出ツールの開発を諦めた理由とは? https://gigazine.net/news/20230904-apple-csam-photo-scan-canceled-reason/
日本においては、一般社団法人インターネットコンテンツセーフティ協会が作成した児童ポルノサイトのアドレスリストをもとに、インターネットプロバイダ、検索サイト、フィルタリングソフトメーカーが該当ページにアクセスできなくする「ブロッキング」を行っています。